先週の土曜日に小さい試飲会を開きました。抜栓したのは、このところジェロボアムで力を入れている国産のワイン。そのうちの印象に残ったいくつかをご紹介します。(ジェロ店頭税込価格です)

    シャンテ、甲州樽発酵2008年                (\2400)
     勝沼のダイヤモンド酒造さんの自信作。樽香にも負けないほど豊かなアロマと旨みが引き出された秀逸な甲州。特に液温が上がってきてから一体感が増しました。香りを表すなら花梨、八朔、パイナップル、白木、カルヴァドスあたりでしょうか・・。お客様からは天ぷらを食べたくなる・・という声も。
    都農ワイン、シャルドネ・アンウッデッド2007年  (\2400)
     やはり宮崎県産だけに、どことなくマンゴーを連想させる味(?)。酸は穏やかでわずかに甘い仕上がりですが、果実味がとても新鮮で飲み終わりもスッキリしています。アンウッデッドはUn-wood-ed“樽香をつけない”あたりの意味で、シャルドネといえば樽熟というイメージがあった90年代までとは違う、香りや味わいのフレッシュ感を狙ったもの。90年代後半あたりからカリフォルニア産やオーストラリア産のワインのラベルで見られるようになった“Unoaked”アンオークドも同意語です。
    ココファーム、農民ロッソ2007年          (\1800)
     栃木県足利のワイナリーが国内産のメルロ種やカベルネ・ソーヴィニヨン種など数種の葡萄を買い付け混醸した赤。抜栓してしばらくは植物の茎というか根っこというか香りのクセを感じましたが、閉店して自宅に持ち帰って再度飲んでみて・・驚きました。その香りと味わいから思い出したのは2005年で引退したモレ・サン・ドゥニの職人ヴィニュロン、ジャッキー・トルショさんのピノ・ノワール。野苺、苔桃、クランベリーの風味、始めは甘くて、飲み終わりはキュッと締める酸があり、余韻にも野生のベリー香が続く・・。ココファームさんがピノ的な味わいを狙ったのではなく、偶然出来たのかもしれません。トルショさんのワインは入手困難ですがこんな身近なところにそっくりさんがいました。
    シャンテ、ますかっとべりーA plus 2008年    (\2000)
     勝沼ダイヤモンド酒造さんの醸造家、雨宮吉男さんが修行したブルゴーニュの赤ワインを彷彿とさせます。HPにもあるように炭酸ガスを感じますが、抜栓直後からアロマは強く立ち上がります。チェリーや苺のキャンディの甘い香り、この品種のワインとしてはエキス分、ミネラル感とも別格(かもしれない)の出来。樽熟成の影響は強くなくどこまでもピュアな果実を感じます。どことなくガメイ種の要素を感じて、良く出来たパストゥグランみたい・・という声も。炭酸ガスが抜けた頃には酸が立ってきて、よりブルゴーニュ的に。
    イケダワイナリー、メルロ グランキュヴェ2007年 (\2600)
     昨年秋におじゃましたイケダさん渾身のメルロ。・・といってもすっごい濃厚なメルロではないです。2種の甲州も、カベルネなどを用いた他の赤も、どれもイケダさんの味。普通なんです。でも、とてもバランスがよくて柔らかで飲みやすく、アフターもきれいで・・ありそうでなさそうな、そんな味筋。ワイナリーでの試飲はイケダさんのご自宅の居間で正座して頂きました。あの時の美味しさが忘れられない。このメルロは抜栓して数時間後、複雑さが増して、メルロらしい土っぽさが香り・味わいに表れました。

    どのワイナリーも生産量はそれほど多くないところですので在庫は充分ではありませんが、気になったワインがありましたらお気軽にご連絡ください。


    今年、特に力を入れているのが国産の新酒です。地産地消を進めたいという意識もありますが、基本的に新酒は新鮮な方が良いに決まっています!それならやはり近場で作られたもので!・・ということで。それでも商品選びに妥協はなしで、専門店らしい厳選ラインナップ。甘いの辛いの、泡ものもありでバリエーションが豊富です。

    ⑦グレイス、デラウェア 1500ml        ¥2000(入荷済)
    山梨県勝沼の中央葡萄酒さん。生の葡萄を食べているかのような豊かな芳香と甘みを残しながらも雑みのないスッキリ感で毎年大好評。嬉しいお徳用サイズです。
    ⑧シャンテ、甲州ヌーヴォー          ¥1300(11月上旬)
    山梨県勝沼産。淡く澄んだ味わいが魅力の甲州種を使用したすっきり辛口の白ワインです。鍋物など和食に幅広く合うので冬の間の必需品です。注目すべき醸造家、雨宮さん作。
    ⑨シャンテ、ベリーAヌーヴォー      ¥1300(11月上旬)
    食用で知られるマスカットベリーA種を用いた新酒。ボージョレーにも似たイチゴ・ジャムのような強い香りが特徴で、辛口仕上げですがフルーティーな印象で親しみやすいです。
    ⑩小布施、ホイリゲ・アメリケン白     ¥2100(11月中旬)
    鬼才?曽我彰彦氏が数種の白葡萄を使用して醸す新酒。昔ワイン風の瓶内発酵による微発泡性の濁りワインで、強い芳香と豊かな甘みを含んでいます。酸化防止剤無添加です。
    ⑪小布施、ホイリゲ・アメリケン赤     ¥2100(11月中旬)
    上記の黒葡萄版で、発酵途中の微炭酸と甘みを含んだ状態で瓶詰めした生々しい葡萄酒。どこか懐かしさを感じさせる香りと味わいでヤミツキになります。これも酸化防止剤無添加。
    ⑫小布施、プリムールZ 発泡・辛口    ¥2100(11月中旬)
    善光寺ブドウとシャルドネ種をブレンド。“田舎風スパークリング”という名称でリリースされる瓶内発酵による自然な炭酸ガスを残したワイン。  ⑬ともに600本のみの限定生産です。
    ⑬小布施、プリムールA 赤・辛口      ¥1700(11月中旬)
    メルロ種50%にブラック・クィーン種とアリカント種等を合わせて50%をブレンドした辛口スティル・ワイン。小布施ワイナリーでは基本的に無濾過で瓶詰めするので炭酸を含む場合もあり。
    ⑭タケダ・ワイナリー、サンスーフル    ¥1700(11月上旬)
    山形県産。食用でもあるデラウエア種を使用、酸化防止剤無添加。白濁&弱発泡性のやや甘口の乳酸飲料に似た味わい。昨年の美味しさが忘れられない方も多数で早めに売切れそうです。


    今年から空輸便の新酒の取扱いをやめることにしましたが、ワイン屋として伝えるべきことは伝えたいという気持ちも強く、考えた末に納得して決めた今年のワインリストです。発売時期が異なりますのでご予約を頂ける際には、ご確認をお願いします。(税込価格です)

    ★収穫時期が早く、船便でも11月に間に合ってしまう南仏産!
    ①カザル・ヴィエル VdP オード     ¥1400 (11月上旬)
    取扱い始めて今年で10年目だと思いますが、ここはまさに定番。サンシニアン村の完熟シラー種を用いて仕込む新酒でフルーティーながらしっかりしたコクのある味わいは毎年リピーター多数。
    ②ラ・グランド・コリーヌ 白        ¥2300 (11月中旬)
    ローヌで活躍する自然派醸造家、大岡弘武さんがシャルドネ種とヴィオニエ種を混醸。まだ発酵中?という感じの生々しい葡萄酒が無濾過で届きます。炭酸入りの乳酸飲料を思わせる味わいです。 
    ③ラ・グランド・コリーヌ 赤      ¥2300 (11月中旬)
    上記に同じく大岡さん作。今年はメルロ種、ガメイ種をブレンドするそうです。ここ数年ローヌ北部ではメルローを植える栽培家が多く、ちょっとした流行なのでしょうか。かなり楽しみな1本。

    ★空輸便をやめようとも炭酸浸漬醸造したガメイ種の美味しさは代え難いもの。やはりヌーヴォーの代名詞ボージョレー産はタイプが異なる2種を自信を持ってお薦めします。
    ④クロ・ド・ロマネシュ“ヴィラージュ”   ¥要確認 (12月中旬)
    “マキコレ”で選ばれているムーラン・ナ・ヴァンの名手ジャン・モルテ氏が厳選して買い付けたガメイ種で醸す新酒です。華やかなアロマと、淡いけれども豊かな旨みをもつ新酒のお手本。
    ⑤シャサーニュ “ヴィラージュ”      ¥1800 (12月中旬)
    ボージョレーでも濃厚な味のものが・・という方にお薦めです。特に今年はボージョレー地区でも素晴らしい収穫が得られたようなのでどのくらい濃厚になっているのか楽しみです。

    ★イタリアの新酒“ノヴェッロ”も今年から船便のみで、ほとんど現地価格です!
    ⑥グレヴェペーザ “サンジョヴェーゼ” ¥1300 (11月下旬)
    トスカーナ州、キャンティ・クラッシコの蔵元が仕込む新酒です。少し酸味を含んだ軽やかでスッキリした味わいで、余韻にはサクランボや熟した木苺の香りがあります。


    親しくして下さっている輸入元さんに年2回のペースで輸入代行をお願いしているもので、まだ日本では入手しにくいフランスの地酒的ワインを主に取り扱っています。簡単なコメントを入れたリストをPDFファイルをこちらでご覧いただけます→ジェロコレ