DSCN0859フランス南西地方の歴史ある生産地区ガイヤックの重要ドメーヌ“プラジョール”。絶滅しかかっていた土地の伝統品種、プリュヌラー種やデュラス種、オンダンク種などの復活に取り組んできた偉大なヴィニュロン、ロベールさんと息子のベルナールさんが運営しています。
    今回ご紹介するのはシラー。ローヌ北部の銘醸地をはじめ、南仏ワインの主要品種として知られていますが、南西地方でもこのACガイヤックやVdPマルマンデなどでも重要度が増しています。もともとスパイシーという表現が多い品種ですが、このワインはスパイス香のほか、鉄分を含んだ黒土っぽい香りを強く放っていて、この品種特有のスミレとも表現されるエキゾチックなアロマを上回っている印象。黒みのある深い色調で、味わいはかなりドライ。同じ南西地方のACマディランのタナ種のような粉っぽいタンニンを含んでいますが植物的なものではなく、充分に熟れています。試飲用の小さいグラスから大き目のものに変えると甘みが出て舌触りも滑らかになり、大地がもつ温かさとでもいうのか・・なんともいえない優しい味わいへと変わります。
    このワインは、しっかりコクのある肉料理と一緒に楽しむのが理想的です。鉄っぽい香りには白身肉ではなく赤身肉でしょう。現地の人たちなら野性味のあるジビエ料理に合わせるはず。
    この蔵元によるモーザック種を使用した発泡性ワイン、ミュスカデル種の白ワインも見事ですが、ヴァン・ジョーヌのような酸化熟成による“ヴァン・ド・ヴォワル”、貴腐菌を成就した葡萄を用いる偉大な甘口ワイン“ヴァン・ドータン”も忘れられない銘酒です。
    ジェロ店頭価格:2600円 (記事:安藤)