日の入りもだんだん遅くなり、少しずついろんなところで春の兆しが感じられるようになりました。温暖化とはいえ、やはり春は待ち遠しいものです。
    今日は先日のクラブジェロ“和食に合うワイン”の報告をさせて頂きます。
    寒い中たくさんのお客様でにぎわいました。実際に和食を食べながらではないので、皆さん頭の中でいろいろな和食を思い浮かべてワインを飲み、バーチャルマリアージュ体験で盛り上がりました。

    ①アンペリデ  “アルマンスB” (ロワール/発泡)
     アプリコットの香り。酸と甘みのバランスがよく、どんな和食でもゴージャスにしてくれる1本です。
    ②シュマン・デ・レーヴ“アブラカダブラ” (南仏/ロゼ)
     抜栓して少し時間をおくと、堅さがとれ果実味が増します。魚のエスカベッシュに。   
    ③スーリエ ブラン (南仏/白)
     とても爽やかなソーヴィニヨン・ブラン。時間が経つと香味がぐんとアップしました。コストパフォーマンス抜群!
    ④シュピールマン エデルツヴィッカー (アルザス/白)
     ミネラル感たっぷりで、白い花やライチなどの華やかな香り。1000mlで寄せ鍋パーティーにピッタリです。
    ⑤ラゲール Le20 ブラン (ルーシヨン/白)
     洋梨のようなフルーティーな香りとキリッとした酸のギャップがおもしろく、鶏料理や魚料理に合いそうです。
    ⑥アンセストラ “コホカ” (ボージョレー/赤)
     ガメイ100%の軽やかさと、程よい酸とタンニンが、ごぼうの和え物など根菜の旨みや甘みを引き出してくれそうです。
    ⑦デ・トゥール ヴォークリューズ (ローヌ/赤)
     ほのかな甘みがあり親しみやすい赤。「豚の角煮しかない!!」という声が・・。当日在庫は完売しましたが、近日再入荷予定。
    ⑧ダール&リボ “セ・ル・プランタン” (ローヌ/赤)
     独特のスパイシーさ、豊かな果実味。このワインでしか感じられない独特な世界。
    ⑨メゾン・ブリュレ “エレブ” (ロワール/赤)
     大地に味が凝縮されているような赤。しっかりした味なので、合わせるものも濃い目のものがおすすめ。土手鍋という声もありました。 
    ⑩ルネ・モス “ムーサムーセット” (ロワール/発泡)
     春らしい桃色でほんのり甘め、題して“ひな祭りワイン”。ちらし寿司と合いそうです。
    ⑪シュレール ピノ・ノワール L NO12  (アルザス/赤)
     スモーキーで複雑で繊細な香り。謎めいた美味しさ。
     
    *⑦以外の赤ワインは抜栓後時間を置くかデキャンタージュすると、BIOワイン特有の還元香が和らいで美味しさが増します!大き目のグラスでゆっくりと変化を楽しむのもアリです!(記事:市村)


    DSCN0749フランス東部、スイスとイタリアの国境と接するサヴォワ地方のティオリエ家が営む歴史ある蔵“イディル”。今回ご紹介するのは、岩だらけの石灰土壌の痩せた山岳地で厳しい気候条件のもと育つルーセット種(地元名:アルテス)から造られた白ワインで、繊細さと力強さを兼ね備えた“キュヴェ・エミリー”です。
    試飲した時は、白ワインなのでとりあえず冷やして・・と8度位まで下げていましたが、香り味わいともにキュッと締まった状態で、樽熟成の影響からかタニックな印象でしたが液温上昇とともに打ち解けてきました。ローストした洋梨やヘーゼルナッツの香り、石を擦り合せたとうな・・と表現されるミネラル香、焼きたてのパンの香り。樽熟成と乳酸発酵で円やかな仕上がりですが、冷涼な土地らしい引き締まった、そしてもともと堅い性質なので、数年熟成させるくらいのほうが美味しいワイン。
    当店に届いて2年近く経過した2006年もいよいよ飲み頃です。ボーフォールやトムなどサヴォワのチーズ・乳製品とはもちろん最高の相性で、山のワインは野菜や川魚など山の食物によく合うので是非お試しください。
    ジェロ店頭価格:2800円(記事:安藤)


    DSCN0914とてもピュアで繊細なまさに“THE ピノ・ノワール”という一本です。
    抜栓直後は酸味を感じ、少しタンニンが後口に残りえぐみを感じますが、時間の経過とともにじわじわっと甘みが表れ、心地よい余韻となって続きます。この間約20分。このワインの魅力はそこからです。マーマレードやみかんのような柑橘系のアロマ、土壌のミネラル成分に由来する花の香りや甘い樽香、奥の方には妖艶な色気を漂わせています。飲まれるときには高めの温度(16~18℃)がお薦めです。抜栓して20~30分後が良い感じですが、すぐに飲みたい場合は大きめのグラスやデキャンターを使ってみては。半年から一年後くらいにはもう少し落ち着いて、よりバランスがとれそう。
    豚や鳥のローストを岩塩で仕上げたお料理などシンプルな味付けが、エレガントで繊細なこのワインには合いそうです。ピノ・ノワールが好きな方というよりも、ブルゴーニュが好きな方にお薦めしたい蔵元ジャン・グリヴォのワインです。
    ジェロ店頭価格:3300円 (記事:市村)   


    DSCN0891先日のイベントでも使用したジャック・セロス。お飲み頂いたのは辛口の“イニシアル”と甘めの“エクスキューズ”でしたが、どちらも濃厚な果実味とミネラル成分を湛えた複雑な味わいで、初めてセロスを飲んだという方も感嘆しきりでした。ここでは当店で現在庫のあるものをご案内します。

     ①“イニシアル”ブリュットNV        17000円
     ②“ヴァージョン・オリジナル”ブリュットNV 18000円
     ③“エクスキューズ”セックNV        21000円
     ④“シュブスタンス”ブリュットNV      28000円
    以上、今のところ在庫は充分ですが人気アイテムですのでお早めにどうぞ。


    DSCN0901サーモンを使った美味しい料理は・・みたいな話をしていた時のこと、当店のスタッフふたりは“サーモン・ムニエル”、僕と家内は“サーモン・フライ”と意見が分かれ、それなら来月にでも機会をつくり、ふた通りの料理を用意して対決しよう!!ということになりました。
    ・・と、まったくの内輪の話で申し訳ないのですが、自分たちが選んだメニューの美味しさを確認するべく晩ご飯にサーモン・フライを家内が作り、そしてせっかくだからと僕が合わせたワインは、マタンザス・クリーク・ワイナリー、ソーヴィニヨン・ブラン2007年

    カリフォルニア州ソノマ郡ヴェネット・ヴァレーで1970年代後半にサンドラ・マックヴェール女史が設立。ラヴェンダー畑に囲まれた美しい葡萄園は彼女とご主人のビルさんの情熱と有能な代々醸造家達のサポートによって、ソノマ地区のみならずアメリカを代表する銘醸と位置づけられるほどになりました。10年くらい前、この蔵元の“Journey”という銘柄のシャルドネとメルロを試した時の感動が忘れられない僕にとってまさに“カルト・ワイナリー”で、2000年の大手ジャクソン・ファミリーに買収されたニュースは本当にショックでした。でも経営が代わろうともこの葡萄園が生みだすワインは相変わらず素晴らしく、今回のソーヴィニヨンも見事でした。若草とも例えられるこの品種特有の青い香りはなく、アプリコットやルビー・グレープフルーツのほか、微かにヨーグルトとジュニパー・ベリーの香りも。全体の2割ほどをオーク樽で熟成させていますが、少し感じる炭酸ガスが若々しくフレッシュな印象で、酸は弱めですが、わずかな苦みを残す後口が爽やか。
    ・・というわけでサーモン・フライと合わせてみたのすが、レモンを絞りタルタル・ソースを添えるとまさに一体化する好相性。でもこのワインにない青い香りは、ちょっとあるくらいのほうが相性良かったかな・・という感じで、本番でどんなワインを用意すればいいのか良いヒントが得られました。ふっふっふ、決戦が楽しみになってきました。(記事:安藤)
    ジェロ店頭価格:3200円です。


    DSCN0917シャンテ(ダイヤモンド酒造)プティ・シャルドネ 2008
    昨年もたくさんのワインをテイスティングする機会がありました。その中のベストを決めることはできないですが、生産国別に考えてみて、印象的だったワインがもっとも多く感じられたのは実は日本でした。
    ファッションなどと同じようにワインにもその時代に合うモードのようなものがあり、たとえばバブルの頃なら完熟果実の濃厚な旨みや樽熟成のニュアンスが強く表れたゴージャスなワインがもてはやされ、省資源や環境保護が強く叫ばれはじめた近年では、ゴージャスの対意語が似合うようなスタイルというと語弊があるかもしれないけれど、素材感重視・ナチュラル志向のワインが増えました。ワイン造りの現場では求められる技術・手法も変化してきて、先進国の時代のスタンダードが日本にも影響を及ぼしました。
    昨年試す機会があったワインの一部ですが、長野県の小布施ワイナリーさん(ソガ)の一連のワイン、山梨県津金のボー・ペイサージュさんのワイン、同じく山梨県勝沼のイケダ・ワイナリーさん、ダイヤモンド酒造さんなどのワインはどれも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれて、一昔前のように?日本人としての贔屓目もその逆の意識もなく、世界に誇れるレベルにきていると感じました。日本の現在のワインは海外のモードのコピーでは決してなくて、良いところだけをしっかり選んで取り入れた結果のものなのです。
    おすすめしたい国産ワインはたくさんありますが、今の一押しがこれ・・・ダイヤモンド酒造さんの“プティ・シャルドネ”。発売されてすぐ仕入れて前情報がない状況での試飲。
    黄色みの強い輝きのある色調、瓶底には白く固まる酒石が見られます。樽熟成・乳酸発酵を行ったことを表すバニラ・ヨーグルトの香り。コンポートの洋梨や桃、白いバラの花。元気いっぱいの果実味、鮮度の高い酸、酒精分が目立たないきれいな後味。同蔵元から、複雑さで勝るシャルドネ“ジューヌ・ヴィーニュ”2007年産(ジェロ価格:¥2900)もお薦めですが、飲むタイミングとして・・今なら絶対“プティ・シャルドネ”です!
    ジェロ店頭価格:2000円 (記事:安藤)


    アラン・ロベール メニル“テート・ド・キュヴェ”1989
    2010年の1本目のご紹介は極上のシャンパーニュです。最高品質のシャルドネが育つ産地のひとつコート・デ・ブラン地区メニル村でも最上と評されるリコルタン・マニュピュラン
    SalonKrugClos du Mesnilなどメニル村の最上級のワインは堅い性質で飲み頃を迎えるのに10年近くかかるのですが、アラン・ロベール氏は飲み頃の到来を待って蔵出しする今では少ない職人気質のヴィニュロンで、デゴルジュマン(澱引き)は注文が入ってから行うというこだわりよう。味わいは今まさに完熟状態で、落ち着いて角の取れた酸と甘くさえ感じられる濃厚な旨みが見事に調和していました。ローストしたリンゴやヘーゼルナッツ、ブリオッシュ、乾燥アプリコット、アカシアの花など、多少のストレスや身体の疲れもどこかに吹き飛んでしまうくらい感動的な芳香。飲用温度はお好みもありますが、熟成したシャンパーニュは冷えすぎると複雑なブーケが閉じるので12度くらいがベストです。
    DSCN0897残念ながらこの蔵元には跡継ぎがいないということで、残っている在庫分が少しずつ蔵出しされているのですが、現在入手できるのはマグナム瓶の1988年1989年1990年。(普通瓶は割当があり、ほとんど入手不可)マグナム・サイズにしてもジェロ店頭価格で35000円と高価でも、それに相応の国宝級価値のあるワイン。もし機会があれば試してみてほしいと思います。


    DSCN0881年末年始、集いの多いシーズンにぴったりなマグナムサイズのワインが充実しています!
    ワインの瓶は容量ごとに呼び名があって、普通の瓶のサイズ(750ml)をBouteilleブティユ、その2本分(1500ml)をMagnumマグナム、4本分(3000ml)をJeroboamジェロボアム、6本分(4500ml)をReoboamレオボアム、8本分(6000ml)をMathusalemマチュザレムなどと呼んでいます。(地方により異なる場合あり)
    大瓶はお徳用サイズと思われがちですが、実は長期熟成に向くような上質なワインをじっくり寝かせておくためのもので、小さなサイズよりも価値は上がって、価格も割高になるのが普通です。同じ年号の同じワインが詰められていても、大きい瓶のほうが香り高く味わいにも奥行きがあるという経験をしたことがある方もいらっしゃるのでは?特にシャンパーニュは泡のキメが細かくなり旨みがのってより美味しくなるので、お友達が数人集まった時にでも試されると面白いと思います。
    ジェロボアムにも最近数種が入荷していて、店の入口近くで“どーん!”と強い存在感出しています。
      Sparkling Wine
      *モン・マルサル、カヴァ1500ml       3800円
      *グリューエ、ブリュット1500ml       5000円
      *ジョゼ・ミシェル、ブリュット1500ml   10000円
      *ドノン&ルパージュ“ノワール”1500ml  12000円
      *アラン・ロベール、1989 1500ml   35000円
      Red Wine
      *シャンテ、赤(山梨県)これはお徳用1升瓶! 2400円
      *ポンテ、バルベーラ・ダスティ1500ml    4500円
      *フィリアート、サンタゴスティーノ1500ml  5000円
      *ダヴィンチ、キァンティ3000ml       6500円
    以上、在庫アイテムの一部です。数に限りがありますのでお早めに!


    DSCN0871スペインを代表する産地、リオハの赤ワインをひとつご紹介します。
    オスタトゥ”と発音するのでしょうか。リオハ・アラヴェサ地区の蔵元で、80年代後半からボルドー・サンテミリオンのChateau l’Angelus(シャトー・ランジュラス)の協力を得て急成長を遂げています。
    樹齢40年~50年のテンプラニーリョ種を高熟度で手摘みして厳選した後、温度管理可能なステンレス・タンクで発酵。フレンチ・オークの小樽で12ヶ月間の熟成を経ていますのでCriansa(クリアンサ)を名乗れますが、この2005年産から熟成期間による分類が簡略化されてラベル表記は上位のReservaのみとなっています。
    ブラックベリーやドライ・プラム、ビターチョコ、杉などの豊かな芳香。充分に熟れた果実から抽出しされた甘苦さを含んだタンニンがあって、ややコンパクトな仕上がりですが均整のとれた良い出来の中重口の赤ワインです。
    欧米での評価が高いワイナリーですが未だ日本への決まったルートがなく、前出のチャコリと同じコンテナでジェロボアム用ロットとして輸入代行してもらっています。この2005年は初輸入から1年半くらい経ちましたが、ほどよく余計な力が抜けてきていて、とても良い状態です。(完売)
    ジェロ店頭価格:3000円(記事:安藤)


    DSCN0854まるで本屋さんのように色とりどりのラベルが並んでいるジェロボアムの棚。その中でも一度は目に留まり、気になっていた方も多いのではないでしょうか・・・。この可愛らしい月の形のラベル。当店に入荷したのは1年位前で、外観と異なる本格派の味わいに驚きました。伝統的な高級ローヌ・ワインがもつ堅固さと野性味が特徴的なフルボディーでしたが、今はいい感じに落ち着いて飲み頃を迎えています。グルナッシュ種主体シラー種をブレンドしており、ローヌ産ならではのスパイスやハーブの香りが鼻からフッとぬけていきます。ローストビーフやステーキ、鴨肉などジューシーな赤身のお肉と一緒に食べると、口の中でソースの役割もはたしてくれそうです。
    ワインとの出会いもご縁です。ワイン選びに困ったときは、たくさんのラベルの中で目が合ったものや好きなデザインを選ぶのも、好みの一本に出会う一つの方法かもしれません!(記事:市村)   税込価格:3500円

    ※このワインは業者さんに少量輸入代行してもらったスポット商品です。La Remejeanne(ラ・レメジャンヌ)という家族経営の小さな蔵元さんで、近年の主流となっている果実味たっぷりの造りではなくミネラリー&スパイシーで堅い味筋が日本の市場にはウケ難いのか、最近は正規輸入元さんが決まっていないようです。頑固に昔風なワインを造るこんな良い蔵元さんを応援していきたいと思います。(加筆:安藤)