今年、特に力を入れているのが国産の新酒です。地産地消を進めたいという意識もありますが、基本的に新酒は新鮮な方が良いに決まっています!それならやはり近場で作られたもので!・・ということで。それでも商品選びに妥協はなしで、専門店らしい厳選ラインナップ。甘いの辛いの、泡ものもありでバリエーションが豊富です。

    ⑦グレイス、デラウェア 1500ml        ¥2000(入荷済)
    山梨県勝沼の中央葡萄酒さん。生の葡萄を食べているかのような豊かな芳香と甘みを残しながらも雑みのないスッキリ感で毎年大好評。嬉しいお徳用サイズです。
    ⑧シャンテ、甲州ヌーヴォー          ¥1300(11月上旬)
    山梨県勝沼産。淡く澄んだ味わいが魅力の甲州種を使用したすっきり辛口の白ワインです。鍋物など和食に幅広く合うので冬の間の必需品です。注目すべき醸造家、雨宮さん作。
    ⑨シャンテ、ベリーAヌーヴォー      ¥1300(11月上旬)
    食用で知られるマスカットベリーA種を用いた新酒。ボージョレーにも似たイチゴ・ジャムのような強い香りが特徴で、辛口仕上げですがフルーティーな印象で親しみやすいです。
    ⑩小布施、ホイリゲ・アメリケン白     ¥2100(11月中旬)
    鬼才?曽我彰彦氏が数種の白葡萄を使用して醸す新酒。昔ワイン風の瓶内発酵による微発泡性の濁りワインで、強い芳香と豊かな甘みを含んでいます。酸化防止剤無添加です。
    ⑪小布施、ホイリゲ・アメリケン赤     ¥2100(11月中旬)
    上記の黒葡萄版で、発酵途中の微炭酸と甘みを含んだ状態で瓶詰めした生々しい葡萄酒。どこか懐かしさを感じさせる香りと味わいでヤミツキになります。これも酸化防止剤無添加。
    ⑫小布施、プリムールZ 発泡・辛口    ¥2100(11月中旬)
    善光寺ブドウとシャルドネ種をブレンド。“田舎風スパークリング”という名称でリリースされる瓶内発酵による自然な炭酸ガスを残したワイン。  ⑬ともに600本のみの限定生産です。
    ⑬小布施、プリムールA 赤・辛口      ¥1700(11月中旬)
    メルロ種50%にブラック・クィーン種とアリカント種等を合わせて50%をブレンドした辛口スティル・ワイン。小布施ワイナリーでは基本的に無濾過で瓶詰めするので炭酸を含む場合もあり。
    ⑭タケダ・ワイナリー、サンスーフル    ¥1700(11月上旬)
    山形県産。食用でもあるデラウエア種を使用、酸化防止剤無添加。白濁&弱発泡性のやや甘口の乳酸飲料に似た味わい。昨年の美味しさが忘れられない方も多数で早めに売切れそうです。


    今年から空輸便の新酒の取扱いをやめることにしましたが、ワイン屋として伝えるべきことは伝えたいという気持ちも強く、考えた末に納得して決めた今年のワインリストです。発売時期が異なりますのでご予約を頂ける際には、ご確認をお願いします。(税込価格です)

    ★収穫時期が早く、船便でも11月に間に合ってしまう南仏産!
    ①カザル・ヴィエル VdP オード     ¥1400 (11月上旬)
    取扱い始めて今年で10年目だと思いますが、ここはまさに定番。サンシニアン村の完熟シラー種を用いて仕込む新酒でフルーティーながらしっかりしたコクのある味わいは毎年リピーター多数。
    ②ラ・グランド・コリーヌ 白        ¥2300 (11月中旬)
    ローヌで活躍する自然派醸造家、大岡弘武さんがシャルドネ種とヴィオニエ種を混醸。まだ発酵中?という感じの生々しい葡萄酒が無濾過で届きます。炭酸入りの乳酸飲料を思わせる味わいです。 
    ③ラ・グランド・コリーヌ 赤      ¥2300 (11月中旬)
    上記に同じく大岡さん作。今年はメルロ種、ガメイ種をブレンドするそうです。ここ数年ローヌ北部ではメルローを植える栽培家が多く、ちょっとした流行なのでしょうか。かなり楽しみな1本。

    ★空輸便をやめようとも炭酸浸漬醸造したガメイ種の美味しさは代え難いもの。やはりヌーヴォーの代名詞ボージョレー産はタイプが異なる2種を自信を持ってお薦めします。
    ④クロ・ド・ロマネシュ“ヴィラージュ”   ¥要確認 (12月中旬)
    “マキコレ”で選ばれているムーラン・ナ・ヴァンの名手ジャン・モルテ氏が厳選して買い付けたガメイ種で醸す新酒です。華やかなアロマと、淡いけれども豊かな旨みをもつ新酒のお手本。
    ⑤シャサーニュ “ヴィラージュ”      ¥1800 (12月中旬)
    ボージョレーでも濃厚な味のものが・・という方にお薦めです。特に今年はボージョレー地区でも素晴らしい収穫が得られたようなのでどのくらい濃厚になっているのか楽しみです。

    ★イタリアの新酒“ノヴェッロ”も今年から船便のみで、ほとんど現地価格です!
    ⑥グレヴェペーザ “サンジョヴェーゼ” ¥1300 (11月下旬)
    トスカーナ州、キャンティ・クラッシコの蔵元が仕込む新酒です。少し酸味を含んだ軽やかでスッキリした味わいで、余韻にはサクランボや熟した木苺の香りがあります。


    今年も新酒のご案内をさせて頂く季節になりました。

    ジェロボアムがセレクトする新酒を毎年ご購入頂いているお客様には、驚かれるご報告になると思いますが、2009年、この年の新酒から航空便で輸入されるワインの取り扱いをやめることを決めました。これは決して唐突に思いついたことではなく、昨年の今くらいから考えてきたことです。

    ≪航空輸送により生じる二酸化炭素の排出量はワイン1本あたり5キログラム以上であり、これは海上輸送で運んだ場合の5倍になる≫ ・・このことをあるワイン関連のニュースで読んだことがきっかけになりました。

    気がつかないうちに他に良くない影響がでるような行動をしていることは少なくありませんが、その記事を読むまで考えもしなかったことでした。(想像はできたかもしれませんが)

    解禁日時が指定されたときから、時差の関係で世界で真っ先に新酒を楽しむことができる・・という触れ込みで盛り上がった日本は最大輸出相手国になりました。ワインを生産している側からすれば毎年大きな期待をされていることと思います。でも、環境問題が最優先で論議される今、僕も仕事で扱っているお酒の分野にも意識を変える必要性のあるものがあれば早い段階で決断するべきだと考えたのです。いろいろと悩んだ時期もあり、同じ業界の友人に相談すると「新酒の扱いで保証されているような11月の売上を捨てるくらいの覚悟ができる酒屋は少ない」という返事もありました。それに、新酒を作ることで一年のほとんどの収入を得ている産地の人々は職を失うことはないだろうか・・など考え過ぎたりもしました。

    『解禁』なんだか楽しくなる言葉です。禁じられた日から、そこからの解放を待ち望みます。

    新酒の販売時期に関しては、ボージョレー、イタリアのノヴェッロ、オーストリーのホイリゲなどに規制がありますが、特にボージョレーは『解禁』が大きな効力をもってきました。(大手輸入業者の戦略だったかもしれませんが) でもここ数年、その力が弱まってきたのか、ボージョレーの輸入量は減ってきていて、そもそも航空輸送までして早く飲む必要があるのか?1本当たり千円近い空輸運賃の意義は?などと、新酒のあり方が考え直されているように思います。

    ジェロボアムでは、今年からの具体的な取り組みとして、従来の空輸品の取扱いを中止、船便で輸入される新酒のご紹介、国産の新酒の取り扱いを行います。各商品の発売時期が9月末から12月中旬までズレることで、11月の新酒イベントなどが盛り上がりに欠け淋しくなる?かもしれませんが、まずは試してみます。

    最後に加えておきたいことですが・・僕は、新酒の味わいは特別なものだと思っています。収穫された葡萄が酵母という微生物の力でワインになる。芽生えたばかりの新しい命には強い力が宿っていて、発酵途中、または終わったばかりの新酒にはそれを感じさせる味があります。ちょっと大袈裟ですがそういつも感じます。ボージョレーは、ヌーボーのもう一つの功罪で、軽く見られがちですが実は偉大な産地です。新酒について、ボージョレーの価値についても含め、きっちりと正しいと思うことを見極めて伝えていく酒屋でありたいと思います。

    空輸便の取扱い中止については、他の酒屋さん、業者さんにも考えてみてほしいと思います。少しずつでも声が上がり、それが生産者に伝えられ生産量・方法などが調整され、いつしか、船便で年末に間に合うように届けられる年末や新年会で祝うための美酒として扱われるようになる・・という未来を願っています。

    日本に“ヌーボー”が初輸入されたのは1976年らしいですが、“そういうものだ”と思いこんできた呪縛からそろそろ解き放たれてもいい頃です。                    神戸 ジェロボアム  店主 安藤博文


    親しくして下さっている輸入元さんに年2回のペースで輸入代行をお願いしているもので、まだ日本では入手しにくいフランスの地酒的ワインを主に取り扱っています。簡単なコメントを入れたリストをPDFファイルをこちらでご覧いただけます→ジェロコレ